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ある殺人者の告白【実話】【人間の怖い話】

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友人のチエコ(仮名)から聞いた実話です。

プライバシー保護のため、一部フィクションを含みます。

チエコとは学生時代からの友人だ。

お互い、仕事だったり、家庭があるので会うのは数か月に一度。

仕事や、家庭のグチ。

他の友人の近況や、アンチエイジングだったりコスメだったり、健康問題だったり。

月並みな世間話をする間柄。

そんなチエコは怖い話が嫌いだ。

最後に会ったとき、私は自分の趣味である人間の「怖い話」をした、らしい。(正直、いわゆるガールズトークの内容なんか一々覚えていないのだった(^^;))

その時、「樹海考」 

という本にを読んだ旨を、チエコに話したそうだ。

「人を殺したことのある、いわゆる『殺人者』は、目がおかしい。

独特の光を宿しているらしい」という話をした。

チエコは怖い話やホラーが好きではない。

私個人の、「好き」の情熱で話してしまったことがあった。

チエコは、「ほんとやめてよ~!そんなん、ばっかみてると、悪いものが寄ってくるよ!」

自分が何を話したか、覚えてもいないのに、なぜか、彼女にそう言われたことだけは覚えていた。

チエコは介護士だ。

その日は、帰宅が終電になった。

自宅の最寄り駅のファミレスで、空腹を満たすことにした。

24時間営業のその店も、終電後となれば人はまばらだった。

遅めの夕飯をとっていると、隣の席に男性が座ったという。

チエコの隣の席の、二人掛けの小さめのテーブルに座った男性は、一人でずっとぶつぶつとしゃべっていたそうだ。

正直、不快に感じた。

うるさいと思ったそうだが、職業柄ある意味、慣れている。

チエコ自身も、食事中だし、仕事終わりの疲労感もある。

わざわざ席を移動するほどでもないと判断し、そのまま自身の食事を続けた。

聞いているつもりなどなかった。

その男性は、なおも続ける。

「あれ、ほんと面白かったな。

意外と簡単なんだな。人を殺すってさ。」

チエコは一瞬、意味がわからなかった。

その男性はなおも続ける。

「もっと、映画とかグロ画像みたく、血反吐まき散らすもんかと思ってた。

なんていうかさ、モノに変化する感じ?逝っちゃう瞬間ってさ。」

チエコの耳に、脳に、知りたくない情報が勝手に入り込んでくる。

チエコの職場でも、お亡くなりになる方はいる。

家族が、ご遺体を迎えに来る時の、深く静かな悲しみ。哀悼の意。

喜怒哀楽を共にした、人生という戦場で共に戦った仲間を失った、喪失感。

同じ「死」を語っているとは思えないほど、隣の男は明るかった。

まるで、趣味の話をしているみたいだったと、チエコは言った。

男は続ける。

「なんていうか、自分が神になった感じ。

目の前がワァーって、開けていくみたいな。

今までの悩みとかストレスとか、マジどうでもよくなったわ。

俺、何、困ってたっけ?って。

上から虫けら、覗いてる気分なったわ。」

怖い。

チエコは席を移動しようか、迷った。

これ以上聞きたくない。

チエコの思う、死のイメージとかけ離れている。

これ以上、聞いてはいけない。

でも、席を移動したら、ばれてしまう。

チエコに「彼の話が、聞こえている」ということを。

横目で盗み見る。

隣の男は、独りでしゃべり続けている。

幻覚でも見えているのか?

どうやら、彼の席の対面には、だれか座っているらしい。

でも、実際には彼の目の前には、何もない。誰もいない。

見えない相手がいるとしか思えない様子で、男は殺人の告白を、誰もいない対面席に向かって、続ける。

「楽しかったな。また、やりてぇなぁ。」

チエコは席を立った。

なるべく、何もない風を装って。

 

自宅までの帰り道。

チエコは何回も、振り返ったという。

後をつけられていないか、不安で仕方なかった。

 

正直、あんなのはいたずらだ。

そうに違いない。

 

でも、チエコは私にこう言った。

「ほら、前、あんたが私に言ってたじゃない。

『人を殺した人は、目の光りかたが違う。』って。」

 

一瞬、盗み見た、例の男の目は、瞳孔が開き切っているみたいだったという。

 

「その目を見て、私感じたの。

ああ、この人、私や、あんたのいる世界とは、まったく別の世界にいっちゃったんだな。

もう、そこから、出られないんだなって。」

 

 

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