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はじめての迷子

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※実話を元にしていますが、プライバシー保護の為、この文章はフィクションを多分に含みます(各種名称、特徴等)。よって事実と完全に一致しません。

昔の話をしようと思う。

あれはまだ私が施設警備員になりたてのころだった。

いつも通り、巡回中

「うわーん!ままっ、ままあーっ」

ド━━━━━━(゚Д゚)━━━━━━ン!!!

あぁ…、とうとう出会ってしまった!恐れていた事態に。

なぜかというと私はまだこの施設の道を覚えきれてなかったのだ!

女性にありがちだが、私も道を覚えるのが苦手。

しかもその時の施設は端から端まで数百メートル規模の超大型。

(最近もそうだけど、女性の施設警備員のいるところは大型施設が多い。多様化する顧客ニーズに対応するためだろう、男性が苦手なお客様もいる。)

そんな中、道もろくに覚えてないのに、最も近場の迷子受付まで連れて行かないといけない…ッ。

あ、あのぉ…大丈夫?

ままがねっ、いなくなっ!ちゃった!の!


しゃくりあげる小さな女の子。いや、ちがうだろ、あなたがママとはぐれちゃったんでしょ。

こっちもささやかにパニックである。だって、連れて行く迷子受付がどこなのかわからない、言わばダブル迷子状態である。

でもこっちは仕事だ。この子を安全に親に届けてあげないといけない。

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無線で助けを呼んでみた。

あ、迷子ね~。迷子受付連れてって~最寄りの~
迷子受付が、私、わかんないですけど…
あ~大丈夫大丈夫、歩いてったらわかるから~

ブツッ

嘘だろう、嘘だと言ってくれ。

今の説明でわかる人がいるか?いや、私を含めて大半の人はわからないだろう。

歩くって、どの方角に?東西南北どっちですか?こんなバカでかい施設で?

おねぇさん、大丈夫…?

あぁっ!幼子に気を使われてしまったーッ

 

あ…ぅん、大丈夫!お姉さん!警備員さんだから!

無理やり何でも知ってる風を装ってみる。

迷子の幼子に気を使わせるなんて…(トホホ…)

 

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あのね、ママに会えるようにしてあげるからさ?お姉さんと一緒に、来てもらえるかなぁ?
…ぅん。

迷子の女の子、覚悟を決めたようである。

そう、それは私も。

とりあえず人が多い方向へ歩いてみることを決めた。

方角すらわからないのに。

手をつないで歩きだすダブル迷子。

女の子はぬいぐるみで涙をぬぐっている。

可愛そうに、強くぬぐったせいだろう、目の周りが真っ赤だ…

あ!!

突然、走り出す女の子。

まま~!!

すごい、嘘じゃなく、確かに数十メートルくらい離れてたのに、母親らしき女性のもとに猛ダッシュ!そして力強くがっちり抱き着く。

もう!まま!いなくなっちゃだめでしょ!

いやいや、それ、ママのセリフだと思うよ?

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誘拐の可能性も視野に入れ、施設内で迷子になったお子様を引き渡す際には迷子届を書いていただき、本人確認書類を提出していただきます。(警備業法)

警備員になる際、研修を受けますが、

迷子引き渡しの際、こどもの表情やしぐさに不審な点はないか確認しないとけませんが、今回はさすがに問題ないですね。

むしろ、あんな遠くから母親を見分けるなんて、強い絆すら感じましたよ。

~~後日談~~

いつもどおり巡回中。

あれ…?

お母さんのお尻の後ろから、こちらをじっと見つめる女の子。

目が合った瞬間、お母さんのお尻に顔擦り付けてモジモジしてた(*´∀`*)

顔を覚えていたわけではないですが、なんとなくお互いに気づきましたよ。

当時の彼女は今どうしてるでしょうか。大きくなっているでしょうか。

もうお母さんとはぐれないようにね(*´ω`*)

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